【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第12回】速度で勝るライバル勢を追い抜いたミックと、またも疑問の残るレース運営

 2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。3連戦の最後を飾るのは、超高速サーキットのモンツァを舞台に争われるイタリアGPだ。ハースはモンツァ仕様のパッケージを持ち込んでいないため、苦戦を覚悟していたが、フリー走行を十分に走れなかったミック・シューマッハーが入賞には届かないながらも素晴らしいリカバリーを見せた。そんなイタリアGPの現場の事情を小松エンジニアが振り返ります。

今季のシューマッハーは「めざましく成長した」とロス・ブラウン。一方で“F1キャリアの重大な岐路”にいると指摘

 F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、ミック・シューマッハーには2023年もF1ドライバーでいる資格があると考えている。しかし同時に、シューマッハーがF1キャリアの「重大な岐路」に立っていることも認めた。

 シューマッハーのハースでの2シーズン目は、サウジアラビアGPで大クラッシュを起こすという厳しい船出となった。モナコGPでも同様にクラッシュし、チームからの信頼を大きく損なう結果となった。

アルファロメオF1、2023年シーズンも周冠宇を起用。ボッタスとのペアを継続へ

 9月27日、アルファロメオF1チーム・オーレンは、2023年シーズンも周冠宇がチームに残留することを発表した。

 上海出身で現在23歳の周は、今年アルファロメオからF1にデビューし、中国人として史上初のF1ドライバーとなった。デビュー戦の開幕戦バーレーンGPでは10位に入賞し、チームメイトのバルテリ・ボッタスとともにダブル入賞を達成した。

今季未勝利のハミルトン、F1連続シーズン勝利記録は気にせず「トップに復帰して戦うことがチームとしての真の目標」

 ルイス・ハミルトン(メルセデス)は、自身が参戦したすべてのF1シーズンで優勝を飾る記録を今年も維持することは「まったく重要ではない」と述べている。

 メルセデスでの1年目にグランプリ優勝回数が1回だけだった2013年を除いて、ハミルトンは毎シーズン、複数回の勝利を収めてきた。しかし今年、7度のF1世界チャンピオンであるハミルトンがその記録を維持するには、あと6レースしか残っていない。メルセデスの新世代マシンがトップ集団の期待に届いていないことから、ハミルトンは実りのないシーズンを過ごしている。

元F1王者デイモン・ヒル、現役最年長ドライバーであるアロンソの引退時期を「44歳」と予想

 元F1チャンピオンのデイモン・ヒルは、フェルナンド・アロンソはまだF1で戦えるだけの能力と意欲を持っていると語り、彼の引退時期を3年後の「44歳」だと予想した。

 アロンソは引退を発表したセバスチャン・ベッテルに代わり、アストンマーティンF1と2023年からの複数年契約を結んだ。アロンソとの契約延長が有力視されていたアルピーヌF1のオットマー・サフナウアー代表は、2022年7月に41歳の誕生日を迎えた彼の年齢がネックとなり、単年の契約しか提示できなかったことが交渉が決裂した原因だと考えている。

マシンセットアップは乗り心地優先か、グリップ優先か。オコン、F1シンガポールGPで「誰が何を選ぶのか」に注目

 アルピーヌのエステバン・オコンは、今週末のF1第17戦シンガポールGPが手ごわいものになると予想しているという。コースのバンピーな性質から、今年のF1マシンは大きな影響を被ると予測しているのだ。

 新型コロナウイルスのパンデミックにより2020年と2021年はレースが中止になったため、F1がマリーナベイ・ストリート・サーキットへ行くのは2019年以来のこととなる。オコンは2019年はF1でレースをしていなかったが、それまでに3回の出走経験があり、2017年には当時のフォースインディアで入賞を果たしたが、2018年はクラッシュによりリタイアを喫した。

レッドブルF1、『にゃんこ大戦争』を運営するポノスとの日本GPでのパートナーシップ締結を発表

 オラクル・レッドブル・レーシングは9月27日、日本企業のポノス株式会社と2022年F1第18戦日本GPにおけるパートナーシップ締結を発表した。ポノスは、スマートデバイス向けのゲームなどを軸に事業を展開している企業で、代表作には『にゃんこ大戦争』が挙げられる。

フェラーリF1-75が勝てなくなった3つの理由(1):開発の方向性が間違っていた

 フェラーリが前回優勝したのは、7月のオーストリアGPのことであり、その後の5レースで、勝ち星から見放されている。シーズン当初のあの目を見張るようなF1-75の速さは、いったいどこに行ってしまったのか。フェラーリの失速をF1i.comのニコラス・カルペンティエルが技術的な面から分析、3つの理由を挙げた(全3回連載)。

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 7月末のハンガリーGP以降、フェラーリは、予選ではかろうじてレッドブルに対抗できているものの、決勝レースではすっかり躍動できなくなった。その一番の理由は、タイヤが熱くなりやすいというF1-75の特性から来ている。逆に言えば熱が入りやすいわけで、予選ではそれが有利になる。しかし決勝では、タイヤが持たないのだ。

元トロロッソF1のアルグエスアリ、ヘルムート・マルコの怒りがトラウマになったと明かす「今でも当時の夢を見る」

 元トロロッソのF1ドライバーであるハイメ・アルグエルスアリは、レッドブルの育成ドライバーの頃に経験したトラウマが今も残っていることから、「とても奇妙な」夢を見るといい、そのなかには怒ったヘルムート・マルコが出てくることもあるという。

 2009年、レッドブル・ジュニアチームの一員だったアルグエルスアリはフォーミュラ・ルノー3.5シリーズに参戦していたが、マルコに突然呼び出され、セバスチャン・ブルデーの代わりにトロロッソからハンガリーGPでF1デビューを果たすことになった。たった19歳と125日でアルグエルスアリは、F1史上最も若いドライバーとして、ハンガロリンクのグリッドに並んだのだ。

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第11回後編】ミスを取り返そうとしたミックは及第点のレース。頻発したピットミスを改善へ

 2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。3連戦の真ん中、第15戦オランダGPでは初日からセットアップが決まっていたこともあって、ミック・シューマッハーが好調ぶりを見せていた。ところが決勝レースではタイヤ交換時にミスが続出。ミスによるロスを取り返そうと奮闘したシューマッハーは、入賞には届かずも及第点のレースを披露した。

 コラム第11回は前編・後編の2本立てでお届け。後編となる今回は、オランダGPの現場の事情を小松エンジニアが振り返ります。