ハイパーカー&GT3盛況の余波でLMP2が消滅? クラス間のバランスに悩むWEC

 WEC世界耐久選手権のフレデリック・ルキアンCEOは、LMP2クラスが2023シーズン終了以降に段階的に廃止されるという兆候が漂うなか、2024年のグリッドについては「バランスを検討する」必要がある、と述べた。

 トップカテゴリーであるハイパーカークラスへのエントリー数が増加すること、そして来季をもってLMGTE(アマクラス)が終了、2024年以降はGT3車両を用いたクラスへの高い関心が予想されることから、LMP2車両の活躍の場に影響が及ぶ可能性がある。

 ルキアンは、LMP2がル・マン24時間レースのグリッドには長期的に存在することは認めたが、それ以外のWECのラウンドでLMP2が除外されるかどうかについては明言を避けている。

“エンジン直撃”の衝撃シーンをニック・キャシディに聞く「フェラーリの安全性に感謝」/DTM

 2015年から2020年まで日本を拠点にしてスーパーGTとスーパーフォーミュラで活躍したニック・キャシディ。

 その後ヨーロッパへ活動の拠点を移し、今季はエンビジョン・レーシングからフォーミュラE、レッドブル・アルファタウリ・AFコルセのフェラーリ488 GT3 EvoでDTMドイツ・ツーリングカー選手権、そして同じくAFコルセのフェラーリでWEC世界耐久選手権と、1シーズンに3つのシリーズを掛け持ち、非常に多忙な時間を過ごした。

■2勝したDTMで「チャンピオンになってみたい」

キャデラックV-LMDh、1万1千kmを超えるテストで「大きな進歩」24時間テストも実施へ

 GMのスポーツカー・レーシング・プログラムマネジャーのローラ・ウォントロップ・クラウザーによれば、キャデラックは新型LMDh車両『V-LMDh』の開発において11,000kmを超えるテストを行い、「大きな進歩」を遂げているという。

 キャデラックは2023年、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスに2台、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに1台のキャデラックV-LMDhを投入する。

代表を兼ねる可夢偉への敬意。“平川の次”の若手は「自覚と準備次第」【中嶋一貴TGR-E副会長インタビュー後編】

 2021年限りでレーシングドライバーを引退した、3度のル・マン・ウイナーにして4輪初の日本人世界選手権覇者、中嶋一貴。昨年末、その引退発表と同時にトヨタGAZOO Racing・ヨーロッパ(TGR-E)の副会長に就くことが明らかにされ、“異色のセカンドキャリア”を歩むこととなった。

 1月の就任以来、一貴副会長はドイツ・ケルンをベースにWEC世界耐久選手権やWRC世界ラリー選手権の現場に赴き、さらにその合間には日本を4往復するなど、多忙な日々を送っている。

 副会長としての新たな仕事内容などについて聞いた前編につづき、この後編ではWECチーム代表を兼ねる小林可夢偉や、今季最高峰クラスにデビューした平川亮、さらにその先のドライバー育成などについて、話を聞いた。

コルベット新型GT3、カスタマー供給は北米チームから。欧州他への全面展開は2024年末以降に

 GMスポーツカーレーシング・プログラムマネージャーのローラ・ウォントロップ・クラウザーによると、シボレーは、2024年のデイトナ24時間でレースデビューを予定している『シボレー・コルベットZ06 GT3.R』について、まずは自国アメリカのカスタマーに焦点を当て、ヨーロッパやその他地域への完全展開は2024年末か2025年初めになることを想定しているという。

 コルベット・レーシングを運営するプラット&ミラー社製の新型GT3マシンは、先日ミド・オハイオで初のサーキットテストを終えた。この新型コルベットGT3は、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とファナテック・GTワールドチャレンジ・アメリカ・パワード・バイ・AWSにおいて最初の存在感を示すように設定され、その後ほかの地域やシリーズを追加する予定となっている。

WEC、2024年は年間8戦に拡大予定。新規開催地は「さまざまな選択肢がある」

 新型コロナウイルスのパンデミックが収束傾向にあることから、2023年は現状から1レース増となる7戦を行うWEC世界耐久選手権。シリーズは2024年、さらにレース数を増やして8ラウンドを開催する予定だという。

 WECのCEOを務めるフレデリック・ルキアンは、2024年の追加開催地については「さまざまな選択肢がテーブルの上にある」と述べている。

フェラーリのLMH開発は「順調に進んでいる」とピエール・グイディ。テスト走行距離は1万kmを突破

 フェラーリのワークスドライバーであるアレッサンドロ・ピエール・グイディは、2023年のWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスに登場する予定のフェラーリLMHマシンについて、車両開発がテストプログラムの進行とともに「正しい方向に進んでいる」と感じている。

 トヨタやプジョーのハイパーカーと同様に、ハイブリッドシステムを搭載するフェラーリLMHは、7月にフィオラノで行われた一連の初期テスト以来、いくつかのトラックテストでラップを重ねてきた。直近ではポルティマオを訪れ、メーカーによると総走行距離は1万kmを超えたという。

「まったく違和感がない(笑)」新たな役割と、選手時代より増えた移動【中嶋一貴TGR-E副会長インタビュー前編】

 2021年限りでレーシングドライバーを引退した、3度のル・マン・ウイナーにして4輪初の日本人世界選手権覇者、中嶋一貴。昨年末、その引退発表と同時にトヨタGAZOO Racing・ヨーロッパ(TGR-E)の副会長に就くことが明らかにされ、“異色のセカンドキャリア”を歩むこととなった。

 1月の就任以来、一貴副会長はドイツ・ケルンをベースにWEC世界耐久選手権やWRC世界ラリー選手権の現場に赴き、さらにその合間には日本を4往復するなど、多忙な日々を送っている。

 2022年9月、WEC第5戦富士のために来日した一貴副会長に、新たな仕事内容やこれからのビジョンなど、じっくりと話を聞くことができた。

■多岐にわたる副会長の仕事

プジョー、ロシターのマセラティFEチーム代表就任に伴いWECバーレーンのラインアップを調整へ

 2022年シーズン途中よりWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスに参戦しているプジョー・トタルエナジーズは、ジェームス・ロシターのマセラティ・フォーミュラEチーム代表就任を受けて、11月10~12日に行われる今季最終戦バーレーンのドライバーラインアップを調整することになったようだ。

 プジョーワークスドライバーのひとりであるロシターは、プジョーにとって初のWECハイパーカー参戦となったモンツァ6時間に続き、日本ラウンドの富士6時間レースに出場。ロイック・デュバル、グスタボ・メネゼスとともに94号車プジョー9X8をドライブした。

新型フォード・マスタングGT3、2023年WEC開幕戦『スーパー・セブリング』で正式発表へ

 フォードが開発を進めている新型マスタングGT3は、2023年3月にアメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とWEC世界耐久選手権のジョイントイベント、通称“スーパー・セブリング”で正式発表されることが分かった。