本格デビュー3戦目の『トヨタ・カローラGRS TCR』がレース1で連勝劇/TCRサウスアメリカ最終戦

 創設2年目を迎えた南半球のリージョン選手権、TCRサウスアメリカ・シリーズの最終戦が10月8~9日にアルゼンチンのサン・フアンで開催され、前戦ブエノスアイレスで実戦わずか2戦目ながらポール・トゥ・ウインでのシリーズ初優勝を飾った新型『トヨタ・カローラGRS TCR』が、引き続き“実力どおりの直球勝負”となるレース1を制覇し、連勝を記録した。

 新型TCRマシン開発を託された18歳の新鋭ホルヘ・バリオは、続くレース2でも肉弾戦を演じてペナルティ裁定を受けつつも3位に喰い込み、この南米発のモデルに高い戦闘力が秘められていることを示した。

“エンジン直撃”の衝撃シーンをニック・キャシディに聞く「フェラーリの安全性に感謝」/DTM

 2015年から2020年まで日本を拠点にしてスーパーGTとスーパーフォーミュラで活躍したニック・キャシディ。

 その後ヨーロッパへ活動の拠点を移し、今季はエンビジョン・レーシングからフォーミュラE、レッドブル・アルファタウリ・AFコルセのフェラーリ488 GT3 EvoでDTMドイツ・ツーリングカー選手権、そして同じくAFコルセのフェラーリでWEC世界耐久選手権と、1シーズンに3つのシリーズを掛け持ち、非常に多忙な時間を過ごした。

■2勝したDTMで「チャンピオンになってみたい」

TCRヨーロッパの2023年カレンダー発表。オーストリアとハンガリー復活、WTCRとの日程重複も回避へ

 10月14~15日にスペイン・バルセロナで2022年のタイトル決定戦を控えるTCRヨーロッパ・シリーズが、来季2023年に向けた全7戦のスケジュールを発表。今季の併催戦で軸となったDTMドイツ・ツーリングカー選手権との協力体制を解消し、新たにインターナショナルGTオープン選手権を中心にサポートする構成へと回帰した。結果、ドイツ国内のニュルブルクリンクやノリスリンク市街地戦が消滅し、2019年以来となるハンガロリンクや、レッドブルリンクの復活が予定されている。

 2018年のシリーズ創設以降、前出のGT OpenやWTCR世界ツーリングカー・カップとの日程共有でイベントを開催してきたTCRヨーロッパだが、昨季はそのパートナーをファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCヨーロッパ)にシフトし、今季2022年はDTMと2戦を併催するなど、相対的にドイツでの存在感を増すカレンダー構成となっていた。

エクシオンが『BMW i4』の新規車両を投入。2023年フル電動化を果たすSTCC参戦表明1番乗り

 来季2023年より完全な電動モデルによる「世界初のフルエレクトリック・リージョン・ツーリングカー・チャンピオンシップ」として新時代を迎えるSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権だが、TCR規定最終年となった2022年よりシリーズ参画を果たした新興エクシオン・レーシングが、いち早く参戦車種を発表したチームとして名乗りを挙げることに。

 スウェーデン南部ヴェルナモを拠点とする同組織は、今季のタイトルも獲得したPWRレーシングのR&D部門『EPWR』が開発を進める電動パワートレイン・キットを搭載した『BMW i4』ベースの新規定モデルを製作し、3台体制での参戦を明らかにしている。

予選ポールから連勝のトム・イングラムが“4WAYバトル”を制して悲願の初王者に/BTCC最終戦

 2022年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権シーズンは、9月末の前戦シルバーストン“ナショナル”で争われた第9戦の結果により、ランキング上位3名が7点差にひしめく混戦状態となり、そこまで選手権首位を守り抜きながらもランク4位に後退した“4冠王者”コリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)まで、都合4名にチャンピオン獲得の可能性が残された。

 そのタイトル決定戦となる第10戦が、10月8~9日にブランズハッチ“GPサーキット”で争われ、予選ポールポジション獲得から2戦連続で勝利を飾ったトム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8・TradePriceCars.com/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)が、王者アシュリー・サットン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)やジェイク・ヒル(MBモータースポーツ・パワード・バイ・ロキット/BMW 330e Mスポーツ)らを振り切り、自身初のBTCCシリーズチャンピオンに輝いた。

実質“年間予選全制覇”の新王者キスが2勝。テオ・カルヴェはカップ王者を獲得/ETRC最終戦

 すでに2022年のタイトル争いが決着しているETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップは、その王座確定翌週となる10月1~2日に、スペインのハラマで第8戦となるシーズン最終戦を開催。2014-2015年に続き、2021-2022年の連覇による自身4度目の戴冠を決めた王者ノルベルト・キス(レベス・レーシング/MAN)が、土日ともに予選ポールポジションを獲得し、実質的に「年間予選セッション全制覇」を達成した。

 そのまま決勝レースでも、今季の奇数レースでスタンダードとなったリザルトを反復し、キスが年間16勝の金字塔を打ち立てるとともに、シーズン最終のレース4では、今季2度目の総合優勝を果たしたテオ・カルヴェ(バギラー・ZMレーシング/フレイトライナー)が、若手登竜門的カテゴリーの“プロモーターズカップ”で年間チャンピオンを獲得する結果となっている。

岩崎有矢斗、ドニントンパークで開催されるイギリスGB3最終大会に参戦

 10月11日、日本人ドライバーの岩崎有矢斗が10月15〜16日にイギリスのドニントンパークで開催されるGB3(旧:BRDCイギリスF3)の最終大会にスポット参戦することが明らかとなった。

 18歳の岩崎は全日本カート選手権OK部門参戦を経て、2022年1月〜2月に開催されたフォーミュラ・リージョナル・アジアで4輪レースデビュー。今季はスーパーGTのサポートイベントとして開催されているFIA-F4選手権にスポット参戦したほか、鈴鹿選手権シリーズ『カートレース IN SUZUKA』のROK SHIFTER CUP(ロック・シフターカップ)などのレーシングカートレースにも参戦している。

王者SVG&タンダー組がホールデン最終年を飾る。年間最多勝も更新/RSC第11戦バサースト1000

 事前の悪天候予報が的中し、幾度ものセッション中止と都合8回に及ぶセーフティカー(SC)ランが発動する大荒れの展開となった『レプコ・バサースト1000』は、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの盟主として挑んだレッドブル・アンポル・レーシングの王者“SVG”こと、シェーン-ヴァン・ギズバーゲン/ガース・タンダー組(トリプルエイト・レースエンジニアリング/ホールデン・コモドアZB)が、悪条件とペナルティにも屈せずペア2勝目を獲得。

 これでふたりはホールデン最後のシーズンに、ブランド通算36回目の“グレートレース”制覇の栄誉で華を添えるとともに、チャンピオンSVGはスコット・マクラフランがかつて記録した年間最多勝記録を更新する、シーズン19勝目を飾っている。

Wシリーズ、財政難のため残り3レースの開催をキャンセル。2022年シーズン終了を発表

 女性限定シングルシーター選手権のWシリーズは、財政難のため、2022年シーズンに予定されていた残る2大会3レースの中止を発表。これにより、9月30日~10月2日にF1第17戦シンガポールGPのサポートイベントとして開催された第7戦をもって、2022年シーズンの終了が宣言された。

 全10レースの開催を予定していた2022年シーズンのWシリーズだったが、同シリーズを支援するとされていた投資家との契約が急遽解消され、資金繰りが厳しい状況であると明らかにされていた

終盤のギャンブルを当てたトヨタのベルが、大逆転のラウンド・オブ8進出決定/NASCAR第32戦

 2022年NASCARカップシリーズのプレーオフも、いよいよ”ラウンド・オブ12”の最終戦に到達。第32戦として10月8~9日開催された今季最後のロードコース戦『バンク・オブ・アメリカ・ローバル400』は、ドラマ満載の展開となった終盤に、タイヤギャンブルを成功させたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が勝利を飾り、滑り込み大逆転での“ラウンド・オブ8”進出が確定。その一方、ディフェンディングチャンピオンのカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)は、わずか2ポイント差でタイトル防衛を逃す結果に終わった。

 今季より導入された新規定車両“Next-Gen”で初のシーズンを戦ってきた一行だが、このプレーオフに入ってからもワンメイクタイヤのバーストによるアクシデントの影響が色濃く残り、第30戦テキサスでタイヤ不具合による“ハードヒット”を強いられたアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)は、引き続き脳震盪症状に対処するため2戦連続でドクターストップが掛かり、これでプレーオフ・ドライバーの権利を消失。同じく足首の骨折と診断されながら、前戦タラデガに強行出場したコディ・ウェア(リック・ウェア・レーシング/フォード・マスタング)も、今回は療養を余儀なくされた。